すいません。またトイレのはなしです。

 

女の人にはわからないと思いますが、男性用トイレというやつは小用の時は個室を使わないもので(そのくらいは知ってるって)便器がむき出しでいくつか並んでいるわけです。隣との間には申し訳程度のしきりがあるだけで、これは「しきる」というよりは、「かからないようにする」ためのものだと思われます。(すいません、おもいっきり下品で)しかし考えてみると隣の顔が見える状態で「する」というのはかなり情けないもので、こんなに文化が進んでも原始的な感じだな…などとは普段は全く考えずに日夜用を足しているわけです。

中国も地方に行くと大きい方もこういう感じだそうで、実際に体験した友人の話では、それも縦に一列に並ぶそうで、つまりむき出しの自分のおしりに顔を向けて見知らぬおじさんがしゃがんでいるという…それだけはさすがに勘弁して欲しい感じですが、逆にアメリカなんかでは犯罪防止のためにドアの上下があいているそうで、これはこれでスカスカしてなんかなあ。と思います。

 

まあ、世の中がそういうふうになっているわけで、それをどうのこうの言っても始まらないわけではあるのですが、この「並ぶ」というところに、必然的に人と人との関係というのが生まれてくるわけです。うちの会社のトイレの場合、今のビルに引っ越す前はこういう配置でした。

3個ならんでるわけですね。

私の場合、根本的に人と隣り合わせになるのがあんまり好ましくありませんのでAか、もしくはCに行きます。先に誰かがAに入っているときはCに。Cに入っているときにはもちろんAに行くわけです。二つがうまっているときはまあ、しょうがないです。

ところが誰もいないときに、真ん中を選ぶタイプの人も当然いるわけです。両側があいている方がキモチがいい。その感じもわかります。わたしも途中でだれも入ってこないのならそれが一番ですね。

ところがところが、わたしがたとえばAに入っているときに、Bに来る人もいるんですね。これはよくわからない。「げっ、寄ってくんなよ」という感じです。

そして今いるビルはこうです。

4個になると、ちょっと計算がむずかしい。「時間」という概念が加味されてきます。

自分が入ったときにだれもいなければいいのですが、例えばAにすでに人がいたとして、Cに行くかDに行くか。Cに行けば次に人が来たときに確実に隣に来ます。Dに行けば隣に来る確率は50パーセント。途中でAの人が出ていけばさらに確率は下がります。これはDを選ぶべきでしょう。

さらにむずかしいのは、すでにAとC、もしくはAとDに人がいた場合、あいている二つのうちどちらを選べばいいのか?どちらにしても最初は隣になってしまうのは仕方がありません。あとは時間の読みです。どちらが先に出ていってくれるのか?一見早そうに見えても、人は見かけではありませんからはずれることも多々あります。こんなところで迷っているわけにも行きません。判断はコンマ何秒の間にしなければならず、緊張感が走ります。満員電車で座りたいときどの席の前に立つのがいいのか?に、似ている感覚でしょう。

 

うーん、すごく不安になってきたので言っておきますが、わたしは別にココロの病を持っているわけではありませんからね。隣に人が来ると脂汗を流したりするわけではありません。別になんてことはないのですが、まあ、ただトイレに行くにもそのくらいのギャンブル性があったほうが楽しいじゃありませんか。楽しくない?じゃあ、いいです。

 

しかし、どうしてこんなこと考えるのだろう…と、記憶をたどっていくとそういえばこういうことがありました。高校生くらいのときです。とある映画館のトイレ。3個や4個じゃなくてもーっといっぱい並んでたと思います。休憩時間。わたしがそのトイレにはいると誰もいませんでした。真ん中の当たりで用を足していたら、ひとりのオトコが入ってきて、他がいっぱいあいているにもかかわらず隣に来ました。そして顔を乗り出してこっちをのぞき込み「ふっ」とバカにしたように笑ったのです。うるせー!よけいなおせわだ。うーん、これはトラウマですね。やっぱりちょっとヤマイかもしれない。

 

(97.10.25)